ウクライナのキスリツァ国連大使が、青と黄色が縦に並ぶ国旗に手を添える。その周りを、30人ほどの国連大使らが囲む。
25日夕、米ニューヨークの国連本部でのことだ。
背後には、巨匠ピカソの「ゲルニカ」の大型タペストリーがあった。反戦のシンボルであり、1985年から、安全保障理事会議場外の壁にある。この1年ほどは所有者のもとに戻されていたが、今月から再び、ここに掲げられた。
国連のグテーレス事務総長はゲルニカ再掲にあたり、こんなコメントを出していた。
「国際の平和と安全の推進が急務であると、ゲルニカは世界に語りかけてくれる」
だが、冒頭の場面から約3時間後、ゲルニカのすぐ横に姿を見せたグテーレス氏は、こう言った。
「国連は戦争から生まれ、戦争を終わらせるためにできた。きょう、その目的は達成されなかった」
安保理ではこの日午後3時から、ロシアを非難する決議案の採決が実施される予定だった。安保理決議には法的拘束力がある。
当初の決議案には、ロシアの…
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