リニア駅「奈良市付近に」 大和郡山市が奈良市と要望
伊藤誠 上田真美
リニア中央新幹線の中間駅について、奈良県大和郡山市は21日、奈良市付近に設置を求める要望書を、奈良市と共同で荒井正吾知事に提出したと発表した。奈良市などを除き、県内自治体の多くは大和郡山市での設置を提言してきたが、大和郡山市は「まず『県内での設置』をめざすことが重要と判断した。方向転換ではない」としている。
要望書(18日付)では、「整備計画などで『奈良市付近』が主要な経過地と記されている」などと説明。その上で、「リニア整備の効果を県全域の発展に生かす」などの観点から、奈良市付近での設置実現への尽力を求めている。
京都府や京都市も中間駅の誘致活動を続けている。そのなかで、大和郡山市を含む県内36市町村や県議らによる「『奈良県にリニアを!』の会」は昨年10月、書面による第8回総会を開いた。これまでと同様、「大和郡山で設置すべきだ」などとする提言書を採択していた。
上田清・大和郡山市長は要望書について「(奈良市付近を)県内の候補地として一致結束して取り組むことが重要」とのコメントを出した。市の担当者は「『中間駅は大和郡山へ』の手を下ろしたのではない」とし、同会で今後の活動について相談するという。
一方、奈良市の仲川げん市長は21日の記者会見で、「今まで、京都には中間駅を絶対に譲らないという共通目標があった。団結して県内での誘致を確実なものにしようという趣旨で、今回は大和郡山市と合意した」などと話した。