子育ては「親の心」の問題か 「こども庁」に「家庭」が入った理由
開会中の国会で、子ども政策の司令塔機能を担う「こども家庭庁」の設置のための法案が審議される予定です。そもそも「こどもまんなか社会」を目指すための「こども庁」という名前でしたが、昨年末に紆余(うよ)曲折の末、名前に「家庭」が入りました。この2文字に込められた意味は何か。家庭教育の歴史に詳しい昭和女子大教授の友野清文さんに聞きました。
とものきよふみ 1958年生まれ。昭和女子大教授。著書に「現代の家庭教育政策と家庭教育論」など。
――「こども庁」から「こども家庭庁」に名称が変わりました。
「子どものために『家庭』を国が支援する。違和感を抱く人がいる一方で、『何が悪いの?』と感じる人も多いでしょう。しかしこの意識の差が、日本の家庭政策にまつわる状況を物語っています」
「『こども家庭庁』への名前の変更は、『こども政策の新たな推進体制に関する基本方針』の中で、昨年12月21日に閣議決定されました。その19日前にまとめた『原案』では、『こども庁』だったものが、短い期間でひっくり返っています。でも、変わったのは名前だけではありませんでした」
――他に何が変わったのでしょうか。
「こども家庭庁」という名前の、何がいけないのか――。インタビューでは、友野さんが「こども庁」に「家庭」が入った経緯や背景について解きほぐしていきながら、「家庭」を中心とした子育て支援の問題について話します。
「たとえば原案では『こども…
- 【視点】
私も、家庭は不要であると考えます。 「こども庁」に入り込んできた「家庭」には、たんに物理的な空間、あるいは法的な責任以上の意味が込められています。すなわち、「規範的な家庭」であり、その規範とは、実の親による愛情規範を核とするものです。
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