「国際秩序、根本から問われる」細谷雄一教授 ウクライナ危機の深層

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聞き手・佐藤達弥
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 ロシアがウクライナに侵攻する恐れが強まっています。米欧側とロシアの駆け引きが続いていますが、両者の間ではどのような認識のずれがあるのでしょう。細谷雄一・慶応大教授(国際政治学)は、そもそも米ロでは「双方に理解不能といえるほど国際秩序への考え方が違う」と指摘します。今、ロシアに加え、中国の軍事的台頭によって、「戦後の国際秩序が根本から問われている」とも言います。両者の隔たりを埋める手がかりはあるのか。危機は日本周辺にどんな影響をもたらすのでしょうか。

 ――そもそも、今回の危機はなぜ生じたと考えますか。

 冷戦後、米国が主導してNATO(北大西洋条約機構)を中核とした欧州秩序をつくりましたが、その中でロシアは周辺化され、不満を抱いていました。

 2010年代以降は中国の影響力が拡大して米国の軍事力がアジアにシフトし、欧州に対する米国の軍事的関与が後退している印象が持たれるようになりました。

 さらに、オバマ、トランプ、バイデンと3代続けて対外軍事介入に消極的な政権が続きました。バイデン政権が昨年8月に急いでアフガニスタンから撤退したことも、米国が軍事行動に後ろ向きだという「安心感」をロシアに与えたのだと思います。

 ロシアはこの機会に、旧ソ連の崩壊で失われた自国の勢力圏を再構築したいと思っているのでしょう。中長期的には、米国によるNATO主導だった欧州の秩序を、何らかのかたちで再編することを視野に入れているのではないでしょうか。

米ロの考え方の違いは?

 ――危機をめぐって、米ロの考え方は具体的にどう異なるのでしょう。

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 私はロシアの専門家ではあり…

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