「審理尽くされていない」 手術後わいせつ事件で有罪破棄、最高裁

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阿部峻介 村上友里
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 手術後に女性患者の胸をなめたとして準強制わいせつ罪に問われた乳腺外科医・関根進被告(46)の上告審判決で、最高裁第二小法廷(三浦守裁判長)は18日、懲役2年の逆転有罪とした二審・東京高裁判決を破棄し、審理を高裁に差し戻した。科学的検討が不十分で「審理不尽の違法がある」とした。裁判官4人の全員一致の意見。

 関根被告は東京都内の病院で2016年、胸の腫瘍(しゅよう)の摘出後、麻酔で意識がもうろうとする30代女性の左胸をなめたとされた。現場は4人部屋の病室だった。

 第二小法廷は判決で、執刀の痛みや麻酔による意識障害「せん妄」で女性が性的幻覚をみた可能性を否定した高裁判決について、専門家とはいえない精神科医の意見を根拠にしたのは不当だと指摘。検察が「被告の唾液(だえき)」と主張した左胸の付着物のDNA型鑑定の正当性も「疑問が解消されていない」と判断し、審理を尽くすよう求めた。

 一審・東京地裁は、幻覚の可能性を認め、DNAは会話や触診で付いても矛盾しないとして無罪とした。だが高裁は、「せん妄の専門家でない」と自ら認める医師の証言をもとに幻覚を否定し、鑑定も被害証言を補うとして逆転有罪とした。被告が上告していた。

 判決後、主任弁護人の高野隆弁護士は「検察が有罪立証に失敗したのは明らか。審理の差し戻しではなく、無罪判決を確定させるべきだった」と話した。(阿部峻介、村上友里)

問題のDNA型鑑定、不備には言及も「基準」示さず

 刑事裁判で使う科学的証拠には、再検証できることが必要だと言ってほしい――。警察のDNA型鑑定をめぐる弁護側の求めに、最高裁は正面から答えなかった。

 弁護側は、「なめ回された」…

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