「脱線」相次ぐレールが復旧 徳島・大歩危峡の「鉄道部屋」改修
徳島県三好市山城町を流れる吉野川の景勝地、大歩危峡近くのホテルにある鉄道ファンのための客室「鉄道部屋」が生まれ変わった。開設8年を迎え、「脱線」が相次いでいた室内の鉄道ジオラマを刷新するなど、初の本格的なリニューアルが実施された。
この部屋はホテル「大歩危温泉 サンリバー大歩危」にある「吉野川第二橋梁(きょうりょう)がみえる鉄道部屋 ムーンライトおおぼけ」。吉野川に架かるJR土讃線の鉄橋を望む4階の和室(定員2人)を、高松市の鉄道カメラマン坪内政美さん(47)プロデュースで改装し、2014年1月にオープンした。
室内には、旧国鉄14系客車の2人掛け座席やNゲージの鉄道模型のジオラマ、四国の列車の行き先表示板などを展示。本棚には時刻表や鉄道雑誌、壁には坪内さんが撮影した鉄道写真がずらり。開設から順調に宿泊客が増え、21年はコロナ禍による休業期間があったが、開設初年の約2倍の218人が宿泊した。
ところが、ジオラマが老朽化し、昨秋に「運転」中止に。宿泊者からは「せっかくNゲージ(の車両)を持ってきましたが、使用中止で残念です」(宿泊日誌より)など残念がる声が寄せられていた。
今回、四国の鉄道会社の社員が手作りし、イベントなどで使っていたジオラマを譲り受け、再整備。幅1・8メートルは同じだが、奥行きが30センチ長い90センチとなった。レイアウトは四国の山岳線区をイメージしており、かつて走っていた水色と白のJR四国色のディーゼル特急が走り抜ける。
壁の写真も、阿佐海岸鉄道の「世界初」のDMV出発式やJR四国の観光列車伊予灘ものがたりの初代車両ラストラン(いずれも昨年12月)など坪内さんが新たに撮影したものを含む約50点に取り換えた。鉄道関連のDVDを鑑賞できるモニターも画面の大きなものに交換した。
宿泊客からは「ジオラマが復活したタイミングで泊まれてラッキー」(宿泊日誌より)などと好評。今城浩三支配人は「ジオラマが古くなり、(模型の)列車がトンネル内で脱線してしまった、という連絡が多かった」と振り返り、「他の宿泊施設にも鉄道ルームが増えてきたが、うちは鉄橋のある宿。リニューアルでいっそう他にない施設になった。引き続き楽しんでいただきたい」と話す。
宿泊料金は2食付き1泊で1人1万2千円(2人利用の場合)。問い合わせはサンリバー大歩危(0883・84・2111)。