芥川賞作家がみた羽生結弦の「類いまれなる主人公力」 町屋良平さん
北京五輪フィギュアスケート男子で、五輪3連覇に挑んだ羽生結弦選手はメダルに届かなかったが、前人未到のクワッドアクセル(4回転半)への挑戦を貫いた。羽生選手の唯一無二の魅力とは何か。フィギュアスケートのファンを公言する芥川賞作家の町屋良平さんに寄稿してもらった。
まちや・りょうへい 1983年生まれ。2019年「1R1分34秒」で芥川賞。村主章枝選手の演技にひかれ、フィギュアスケートのファンになった。
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北京五輪での羽生結弦選手の滑りは個人的には過去最高の出来だったと思う。アクシデントや細かなミスはあったにせよ、これまで積み重ねてきた日々の全てが所作の一つ一つに表れていた。これはただの一ファンからの目線に過ぎないものの、紛れもなく洗練の極みに達していると感じた。
私が羽生選手をいずれ世界の…