AED普及、がん研究支援…ラグビー通じて社会貢献を リーグワン

野村周平
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 1月に開幕したラグビーの新リーグ「リーグワン」は、スポーツを通じた社会貢献を目標の一つに掲げている。各チームはファンを巻き込み、地域に根づくような活動を模索している。

 東京都江戸川区陸上競技場で1月末にあった一戦。運営を担ったクボタスピアーズ船橋・東京ベイは、会場で観客が心停止になった場合、できるだけ早く自動体外式除細動器(AED)を運べるように、客席に専用の監視員を配置していた。

 国士舘大大学院で学ぶ中陳(なかぜ)慎一郎トレーナーが「観客の救護体制を確立できていない」と感じ、提案した。チームが賛同し、国士舘大と公益財団法人日本AED財団の協力が決まった。

 ビブスを着た3人の監視員は会場内のAEDの位置を把握。観客の異常を察知したら、AEDを持ってすぐ処置に駆けつけられるように準備した。同財団によると、心停止の場合、AEDによる電気ショックが1分遅れるごとに救命率は10%ずつ低下するという。

 この日の監視員は知識のある国士舘大の学生や職員だったが、いずれはチームのボランティアら市民が担う形をめざしたいという。石川充ゼネラルマネジャー(GM)は「緊急時にAEDを扱える人が増えれば、地域のためになり我々の存在価値も増す。リモート講習会なども開いていきたい」と話す。

 シャイニングアークス東京ベイ浦安は2月5日の試合を、がん治療を応援するチャリティーマッチと位置づけた。対戦相手の埼玉ワイルドナイツの協力を得て、両チームが試合で1点を挙げるごとに1万円を寄付したり、会場で募金を呼びかけたり。合計得点による53万円などをがん治療の研究に役立ててもらうという。前日4日の「世界対がんデー」に合わせ、ファンに周知した。

 浦安は約3年前から、「がんを、治せる病気にしよう」と活動するNPO法人「deleteC(デリートシー)」と活動を続けてきた。今回は三菱地所の協力も得て、得点分を寄付するといった取り組みが実現した。内山浩文GMは「発信力のあるスポーツチームの活動を通じて企業や団体がつながり、がんという社会課題を解決していこうという活動が広がれば、リーグワンがめざす社会性やSDGsの推進に貢献できる」と話す。(野村周平)

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