学外から教壇へ 「英語」「情報」「IT」 多様化する現場に助っ人

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前田伸也
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 休業や休職が増え、教員が足りなくなっている。一方で、ICT(情報通信技術)の活用が求められ、小学校では英語が必修となるなど、学校現場が対応しなければならない分野は広がっている。だが、人材確保は簡単ではない。こうした課題を解決するため、大学などで教職課程を経ていない社会人で、教育現場での活躍を志す人材の育成・活用が注目されている。

 福岡市の私立福岡雙葉高校で英語を教える長村裕(おさむらひろし)先生(40)は授業でタブレット端末をフル活用する。

 文法の復習テストを出すと、生徒たちはタブレット端末で取りかかる。数分後、電子黒板に正答率のグラフが現れ、正答率の低い問題を中心に解説する。授業終了前、この日習った文法や単語を使っての英作文を提出させる。長村先生が添削する様子を、生徒は画面越しに確認する――。

 長村先生は2015年春、通常の教員免許より簡便な手続きで取ることができる臨時免許状制度を利用して福岡県飯塚市の中学校に赴任した。

 もともと、和歌山県内の学習塾で働いていたが、受験勉強中心の学習に意味を感じなくなり、いったん教育の場を離れた。

 夢だった海外に行こうと、青年海外協力隊員として中央アジアに向かい、その後、英国の大学院に留学。さらに、国境なき医師団のメンバーとしてアフリカの難民キャンプで医療支援チームにも携わった。

 そうして帰国すると、「海外での経験を踏み、教育現場に立てるだけの成長をしたか試したくなった」。そこで出会ったのが、NPO「ティーチ・フォー・ジャパン(TFJ)」(東京)だった。

 教員免許をもたなくても教育現場で働くことを希望する人を研修し、現場に送り出すTFJで学んだ。

 赴任した飯塚市の中学校はICT推進校で、電子黒板やプロジェクターの整備を始めていた。長村先生は海外の大学院で教育開発学を通してICT教育のノウハウを学んでおり、その経験を生かした。

 TFJが定める2年の任期後、活躍を知った福岡雙葉高校から声がかかった。同校に移るとICT教育の中心メンバーの一人となった。

 ZoomやYouTubeの…

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