「女性がたくさん入っている会議は時間がかかる」。東京五輪・パラリンピック組織委員会の会長だった森喜朗・元首相がそう発言してから3日で1年。発言の中で名指しされたのは日本ラグビー協会だった。当時、協会の女性理事だった法学者の谷口真由美さんはこの間に、新リーグ発足をめぐる混乱の中で役職を解かれた。当事者でもあり、ジェンダーの専門家でもある「わきまえない女」はいま何を思うか。
森氏の女性蔑視発言
日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会で「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかります」「ラグビー協会、今までの倍時間がかかる」「組織委員会にも女性は何人いました? 7人くらいかな。みんなわきまえておられて」などと発言。批判を受け、9日後に辞意を表明した。
――森さんの発言はラグビー協会を名指ししたものでした。当時、協会の女性理事は5人。2012年にSNS上で「オッサン政治」に「おばちゃん目線」でツッコミを入れる「全日本おばちゃん党」(19年解散)を立ち上げ、テレビのコメンテーターとして歯にきぬ着せぬ物言いで知られていたこともあり、森さんは谷口さんのことを意図して言ったのでは? とも指摘されましたね。
森さんは協会の会議には出て…
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- 【視点】
わきまえているという言葉で浮かび上がった見えない線引きの重さに、息苦しさの原因を見つけた人はたくさんいると思います。谷口さんの「何でも許してくれるお母さん」か「何にも知らないお嬢ちゃん」しか認めないという指摘は、ジェンダー問題の根っこを実に
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Think Gender
男女格差が主要先進国で最下位の日本。この社会で生きにくさを感じているのは、女性だけではありません。性別に関係なく平等に機会があり、だれもが「ありのままの自分」で生きられる社会をめざして。ジェンダー〈社会的・文化的に作られた性差〉について、一緒に考えませんか。[もっと見る]