HPVワクチン接種、長期間中断しても3回目まで公費接種の対象に
子宮頸(しきゅうけい)がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を3回の接種で防ぐワクチンについて、厚生労働省の部会は27日、過去に1回または2回しか接種していない人でも、3回目までの残りの接種分も公費接種の対象とすることを了承した。来年度に17~25歳になる女性が対象となる。
HPVワクチンは2013年4月、小学6年~高校1年相当の女子を対象に、原則無料の定期接種となった。標準は中学1年で3回接種する。
だが、接種後に体の広い範囲に痛みが出るなどの多様な症状が報告され、厚労省は同年6月、定期接種の位置づけは変えないまま勧奨を止めた。
その後、専門家らが「多様な症状とワクチンとの関連を示す研究結果は確認されていない」として「積極的勧奨」の再開を了承し、21年11月に厚労省は勧奨の再開を決めた。
基本的には今年4月から接種対象者への個別通知が始まる。
また、勧奨が止まっていたために接種の機会を逃した1997~05年度生まれの女性は、今年4月以降、3年間は原則無料で接種できる方針だ。
27日の部会では、接種機会を逃した世代の女性で、過去に1回だけ、あるいは2回だけ接種した場合でも、3回目までの残りの接種分を公費接種の対象とする方針を了承した。
例えば、8年前に1回だけ接種した場合は、残り2回分は接種の対象となる。2回目と3回目の間隔は通常の定期接種と同様、およそ3カ月は空ける。
また、現在は2種類のHPVワクチンが定期接種の対象となっているが、原則は過去の接種分と同じメーカーのワクチンを接種することも確認された。
過去にHPVワクチンを何回接種したかや、どのメーカーのワクチンを接種したかなどは、当時住んでいた自治体に希望者本人や保護者が問い合わせる必要がある。
ただ、すべての自治体で当時の接種歴が保管されているわけではなく、接種歴が不明な場合は、医師と相談して接種計画を立てる必要がある。
HPVワクチンは、子宮頸がんの原因となるHPVの感染を防ぐ効果があるものの、病気の進行を遅らせる効果は現時点で確認されていない。
HPVは性交渉によって感染するため、ワクチンは初めての性交渉の前に接種すると最も効果が高い。
167万人を調べたスウェーデンの調査では、16歳までに接種した人では、接種していない人に比べ、子宮頸がんになるリスクが88%低かったことが示された。
すでに性交渉の経験があっても、HPVに感染しているかどうかはわからないため、一定の効果があるとされている。