「沈黙」しているのは誰なのか 移設賛否語らぬ市長選んだ名護は問う
復帰50年を迎える節目の年のはじめに選ばれたのは、米軍基地問題に「沈黙」する市長だった。
半世紀前、日本は戦争で奪われた沖縄を米国から取り戻す。しかし、「祖国」復帰を果たした沖縄の人びとには喜びとともに苦悩があった。基地の集中は解消されるどころか、強まったからだ。
およそ四半世紀のち、痛ましい少女暴行事件の発生によって動き出したのが、市街地に囲まれた普天間飛行場の返還だ。過重な負担を減らす。政府と沖縄の人たちの思いは一致したかに見えたが、日米が合意した条件は「県内移設」。期待は再び裏切られ、混迷が始まった。
基地ノーか、地域振興か。理不尽な二者択一を迫られた市民は対立を深めながらも議論を重ね、ぎりぎりの選択を続けた。しかし、使用期限など条件つきで受け入れると条件はほごにされ、受け入れの事実だけが利用された。反対すると、市を飛びこえて協力的な自治会に補助金を出す、予算を使った露骨な「アメとムチ」が駆使された。
せばめられる選択肢のなか、その先に誕生したのが、賛否を語らない「沈黙」する市長だ。
この4年、政府は、移設の成…
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