英コロナ規制撤廃方針、政権危機打開狙いか 「医療現場なお厳しい」

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ロンドン=金成隆一
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 英国のジョンソン首相は19日の議会下院で、新型コロナウイルスオミクロン株の感染ピークが過ぎたとして、イングランドにおける法的な行動規制をほぼ撤廃する、と表明した。感染者数は減少に転じたが、入院患者数には地域差があり、医療現場からは懸念の声も上がる。コロナ規制下での官邸パーティー疑惑で政権が揺らぐ中、危機打開を図る狙いもありそうだ。

 発表によると、学校の教室でのマスク着用義務を今月20日に、ナイトクラブなどに導入していたワクチン証明書の提示義務や公共施設でのマスク着用の法的な義務を27日に撤廃する。在宅勤務の推奨は即日撤廃された。多くは、オミクロン株感染が急拡大中の先月8日に導入されていた。

 ジョンソン氏は演説で、混雑している場所でのマスク着用を「今後も勧める」としながらも、「英国人の判断を信頼し、マスクを着用しないことを選んだ人を犯罪者とすることはもうない」と述べた。

 今月4日に過去最高の21万人超となった1日の感染者数は、最近は10万人前後に減っている。ただ1日の新規入院患者は2千人前後、死者は260人(7日間平均)ほどで推移しており、医療機関や教育現場からは規制の撤廃に懸念が出ている。

 国民保健サービス(NHS)関連団体の幹部は声明で、入院患者数は「ロンドンでは減っていても北東部などでは増加中だ」と指摘。「感染増はまだ終わっておらず、医療現場は依然として極めて厳しい状況下にある」と訴え、政府はオミクロン株の第2波を警戒するべきだと主張した。

 全国教育組合のブーステッド…

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