自動運転オペレーターのトヨタ社員を書類送検 パラ選手村の接触事故

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 東京パラリンピックが開かれていた昨年8月、東京都中央区選手村で自動運転のバスで視覚障害のある柔道の北薗新光(あらみつ)選手(30)に接触してけがを負わせたとして、警視庁は6日、バスのオペレーターでトヨタ自動車の男性社員(39)を自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致傷)の疑いで書類送検した。バスに技術的な問題はなく、人為的なミスが原因と判断した。警視庁への取材でわかった。

 事故を起こしたバスは、5段階の自動運転技術のうち下から2番目の「レベル2」で運行していた。人の運転をシステムが支援する車両で、安全運転の責任は搭乗するオペレーターが負う。オペレーターが運転者として立件されるのは全国で初めてとみられる。

 男性社員は昨年8月26日午後2時ごろ、選手村を通る区道で、トヨタの電気自動車「eパレット」(定員20人)を走らせた際に北薗選手に接触し、2日間のけがを負わせた疑いがある。北薗選手は2日後の試合を欠場した。バスには乗客5人とオペレーター2人が乗っていたがけがはなかった。

 オペレーターの2人はトヨタの社員で、1人は発進や停止の操作を、もう1人がドアの開閉を担っていた。警視庁は発進や停止を担っていたオペレーターに過失があると判断した。男性社員は「人には気づいたが、横断をやめるだろうと思った」と話したという。

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    伊藤大地
    (朝日新聞デジタル編集長)
    2022年1月6日12時39分 投稿
    【視点】

    ある意味で、未来が透けて見えるニュースでした。自動運転車は、運転自動化のレベルによって、レベル0~5まであり、人間の運転手がどこまで関与するかが定義されています。たとえば、レベル2までは運転主体はあくまで人、レベル3からはシステムが運転主体

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    福田直之
    (朝日新聞コンテンツ編成本部次長=経済)
    2022年1月6日14時20分 投稿
    【視点】

     自動運転のレベル2とは、簡単に言うとハンドル操作と加減速をシステムが補助するというものです。あくまでも運転の責任は運転している人にあります。自動運転車なのに、書類送検という形で責任を問われたのがオペレーターなのはそのためです。  自動運

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