韓国で急増する感染者 ワクチン接種率8割なのにウィズコロナ撤回

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ソウル=鈴木拓也 阿部彰芳
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 韓国で新型コロナウイルスの感染者が急増している。「ウィズコロナ」を掲げて緩めた行動制限を18日から再び強化したが、感染の勢いは衰えない。国民のワクチン接種率は8割を超えるのに、なぜなのか。

 韓国疾病管理庁によると、27日発表の1日の新規感染者数は4207人。全国の病床使用率は8割に上り、高齢者を中心に亡くなる人も増えている。新たな変異株「オミクロン株」への感染は27日までに累計445人となった。同庁の調査によると、先週1週間の新規感染者の9割以上はデルタ株の感染者で、オミクロン株の感染例は一部にとどまる。

 2カ月ほど前、韓国の感染状況は小康状態にあった。文在寅(ムンジェイン)政権は、2回目のワクチン接種を済ませた人が7割を超えたことを根拠に、11月1日から日常生活を段階的に取り戻す「ウィズコロナ」を開始。飲食店の24時間営業を認めるなど、行動制限を大幅に緩和した。

 だが今月に入り、1日あたりの感染者数は一時7千人を大きく上回り、ウィズコロナ開始前の5倍近くに急増した。

想定外の爆発的感染拡大

 金富謙(キムブギョム)首相は15日の記者会見で「現在の状況を非常に厳しく受け止め、強力なソーシャルディスタンスの措置を行う」と述べ、わずか1カ月半でウィズコロナを撤回した。

 18日から飲食店の利用をワクチン接種を条件に4人までとし、営業時間も午後9時までに短縮するなど、再び行動制限が大幅に強化された。「日常の回復を後退させることはできない」として、方針転換に慎重な姿勢を取り続けた文氏は「重症者の増加を抑えられず、病床確保などの準備が不十分だった。国民に申し訳ない」と謝罪した。

 韓国政府は、ウィズコロナにより感染者数が一定程度は増加することを見込んでいた。ただ、短期間に爆発的に感染が拡大し、重症者を収容する病床数が急速に不足する事態は想定していなかった。国民に追加のワクチン接種を呼びかけており、2回目を終えた18歳以上は、3回目までの間隔を従来の4~5カ月から3カ月に短縮した。感染状況をみながら、厳格な行動制限はしばらく続ける方針だ。

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