第5回エッジを拭く手を止めた羽生結弦 真剣な目、「負けた」と感じた先輩
羽生結弦は2012年、17歳のときにカナダのトロントにあるクリケット・クラブに練習拠点を移した。
3歳年上で、ジュニアの頃から羽生と同じ舞台で戦ってきた中村健人さん(30)も同年から2年間、春と夏に同クラブで練習した。
金姸児(韓国)や過去にはパトリック・チャン(カナダ)ら、五輪メダリストも集まる世界トップレベルの環境。そこでも、羽生の存在感は際立っていたという。
「(シーズンインまで時間のある)夏のはじめなのに、リンクに上がって5分ぐらいアップをしたら、すぐに曲をかけて練習していました。その前にアップを入念にやって、うまくいった演技の映像を見て……。試合のような空気でした。そのあと、曲かけでミスが出たところを個別に練習していく。同じ1時間でも、他の選手とは練習の密度が全然違いました」
飛躍を誓って海を渡った覚悟が日々の練習からにじみ出ていた。ソチオリンピック(五輪)まで、あと半年ほどのころ、羽生と交わした会話は今も忘れられない。
羽生結弦の強さの秘密を、寄り添ってきた6人の指導者や仲間が語る連載。6人の証言の見どころをまとめた本編動画は記事の最後に。
13年の夏、練習後のロッカ…
SPIN THE DREAM 夢を追って 羽生結弦
夢を追い続けてきた羽生結弦のフィギュアスケート人生を、未公開を含む多くの写真で振り返ります。[もっと見る]