改ざん指示による赤木さん自死「国の責任は明らか」 財務相が謝罪

吉田貴司 榊原謙
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 学校法人森友学園大阪市)の国有地売却をめぐる財務省の公文書改ざん問題で、改ざんを強いられて自死した同省近畿財務局職員の赤木俊夫さん(当時54)の妻雅子さん(50)が国に損害賠償を求めた訴訟は15日、国側が雅子さん側の請求を認め、終結した。鈴木俊一財務相は15日夕、報道陣の取材に応じ、「国の責任は明らかとの結論に至った」などと請求を認めた理由を説明。「公務に起因して自死という結果に至ったことにつき、心よりおわび申し上げます」などと謝罪した。

 鈴木氏の説明によると、財務省の事務方から10日に相談があり、13日に同省として原告の主張を受け入れる「認諾」を決めたという。14日に事務方から岸田文雄首相に報告。首相からは、雅子さんとの間で継続中の別の訴訟に引き続き丁寧に対応すること、森友・加計問題について今後も真摯(しんし)に説明を尽くしていくことの指示があったという。

 裁判では10月に「原告側の主張の全体像が示された」といい、その内容を踏まえて検討した結果、「精神面・肉体面において過剰な負担が継続し、病気休職、自死に至ったことについて、国の責任は明らかとの結論に至った」と説明。「いたずらに訴訟を長引かせるのは適切ではなく、決裁文書の改ざんという重大な行為が介在している事案の性質などに鑑みた」とした。財務省本省からの改ざんの指示と赤木さんの自死との因果関係についても、「そういうことも含めて、国の責任を認めた」と述べた。

 財務省幹部は「労務管理の面で安全配慮義務が十分でなかった。原告が求めた資料の提出などで対応できることはしてきており、法的責任を認めるのは自然の流れだ」と語る。

 雅子さんが、財務相に赤木さんの墓参りを求めていることについて、鈴木氏は継続中の別の訴訟があることをあげて「慎重な検討が必要だと思っている」と話した。首相は15日夕、首相官邸で記者団の問いかけに「財務省において、損害賠償について全面的に認めたものだ」と語った。

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