球磨川水系治水 パブコメ実施など求める声 熊本で学識者懇談会
長妻昭明
昨年7月の記録的豪雨で氾濫(はんらん)した球磨川水系の中期的な治水対策を定める河川整備計画の策定にあたって、国と熊本県が意見を求める委員会「学識者懇談会」の会合が13日、熊本市であった。出席者からは、パブリックコメントを募るべきだなどと注文が出た。
河川整備計画は20~30年程度を見据えて国や県が河川整備の内容を示す。河川法では、河川整備計画の策定までに学識者や地元住民、首長に意見を聞くことになっている。学識者懇談会は8月に初めて開かれ、この日は計画の原案に盛り込む内容を議論した。
国と県は、計画の対象期間を「おおむね30年間」と説明。球磨川支流の川辺川で整備を検討している流水型ダムを、従来の川辺川ダム計画で建設地になっている相良村に従来計画と同規模の貯水容量で建設する方針も示した。
学識者からは「パブコメの募集をすべきだ」「防災や地域作りにSDGs(持続可能な開発目標)を入れても良い」「専門用語が多くて分かりにくい。市町村にも分かりやすい資料が必要」などの意見や要望が相次いだ。
会合後、懇談会の委員長を務める小松利光・九州大名誉教授(河川工学)は、国が示した流水型ダムの計画地や貯水規模について「妥当だと考えている。ダムの治水効果は治水容量で決まるのでできるだけ大きい方がいい」と報道陣に話した。
国と県は学識者の意見などをふまえて計画の原案を具体化する。