人工光合成また進化、世界最高水準から8カ月 トヨタ系、開発を加速

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三浦惇平
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 トヨタ自動車グループの豊田中央研究所(愛知県長久手市)は8日、太陽光を使って二酸化炭素(CO2)から有機物をつくる「人工光合成」で、太陽光から有機物へのエネルギー変換効率を、目標レベルまで高めたと発表した。

 今年4月に、世界最高水準を実現したと発表したばかり。実用化にさらに近づいた。「脱炭素」技術として期待され、工場から排出されたCO2を利用することが想定されている。CO2を出さないものづくりをめざし、トヨタグループでは、各社がこうした新技術の開発に挑んでいる。

 開発した装置では、太陽光エネルギーで、CO2と水から、有機酸の一種「ギ酸」を生成する。ギ酸は酸素と化学反応させれば電力を生み出す。発電燃料として利用できるという。

世界最大級にスケールアップ

 豊田中研は2011年、人工光合成の実証に成功した。今年4月には、実用サイズとされる36センチ角の装置で、変換効率を世界最高水準の7・2%に高めたと発表した。効率は植物を上回った。

 今回は、より多くの太陽光を集めるため、装置を世界最大級とされる1メートル角まで大きくした。

 変換効率は、実用化に向けた目標を10%としていたが、それを上回る10・5%まで高めた。装置を単純に大型化すると、効率は下がるとされる。だが使う素材を工夫することで、効率を高めることができたという。

 豊田中研は、30年ごろまでに、実用化に向けた技術基盤の確立をめざしている。変換効率は目標を達成したため、今後は、耐久性の向上や低コスト化に注力する。

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 人工光合成の開発へと力を注…

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