「これじゃあ誰も買わない」から1年 J1清水社長が語るグッズ改革
サッカーのJ1清水エスパルスが「グッズ改革」に本腰を入れている。なぜ、今、グッズなのか。球団史上初の黒字化に成功するなどプロ野球ロッテで6年間社長を務め、清水の社長に転じた山室晋也さんに話を聞いた。
――昨年12月、サポーター向けのグッズ製造販売を米ファナティクス社の日本法人に委託し、1年が経ちます。同社はマンチェスター・ユナイテッドやパリ・サンジェルマンなどのグッズも手がけています。
「一言でいえば、大きく変わりました。公式ショップを旗艦店(清水店)の1カ所にし、全面的にリニューアルしました。新型コロナウイルスの影響下で資金に余裕がないなか、ファナティクスに投資してもらい、清水店の売り上げは大幅に増えました」
サッカーの街、閉店の理由は
――昨年7月、公式ショップのエスパルスドリームハウス5店舗(静岡葵、静岡駿河、藤枝、富士、駿東)が閉店になり、ショップは清水店とスタジアムだけになりました。サッカー熱が高い土地ですが、閉店した理由は。
「それはサッカーの街というより、我々の責任だと思います。中途半端というか、魅力ある店作りができていなかったのです。就任後にいくつかの店を見ましたが、『これじゃあ誰も買わないな』と思いました」
「素人目にみても、当然、コストはかかるわけです。家賃や人件費も大きいし、在庫のロスも出ます。トータルで考えると、これは赤字だなとすぐにわかりました」
――在庫のロスとは。
「実はスポーツクラブはこれが課題なんです。在庫のロスも含めて管理しているところ、意外と少ないんですよ」
「気づいたのはロッテ時代です。社員からは『1万円のユニホームが何枚売れました』と報告があるのですが、棚卸しをすると、一気に2千枚の在庫が出てくるわけです。1年前や2年前のユニホームなんて売れない。特に移籍してしまった選手のユニホームは使いようがないんです」
「(30年間勤めた)みずほ銀行時代、いろんな業種をみて、なにが問題か、それなりに分かるようになりました。1人あたりの単価、立地、陳列方法、在庫管理、販売促進……。そういう目でみると、『なんだ、これは』と」
在庫管理に課題
――クラブが在庫の管理をするのは難しいのでしょうか。
「在庫がゼロだったら、なにも考える必要はないです。残念ですが、少人数で運営しているスポーツクラブの人間は、そこまで管理できる人はいないです。我々はそれをプロに任せたんです」
――社員はグッズに関わらないのですか。
「今は商品企画に特化してい…