原因分からなかった頭痛、まさか 柔道部の稽古で次男亡くした母

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山下寛久
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 第1志望の高校に進んで3カ月。倉田総嗣さん(当時15)は柔道部の稽古中に繰り返し頭を打ち、命を落とした。

 2011年春、名古屋市立向陽高校に合格。体を鍛えたいと柔道部に入った。体格が小さくても光る技を磨こうと、自宅でもゴムを使い背負い投げを練習していた。

 5月の夜、「部活の稽古で頭を打ってから、頭痛が続く」と母親の久子さん(61)に訴えた。翌日、病院でCTを撮ったが、異常は見つからなかった。

 その後も稽古中に頭を打ち、2度、病院へ行った。致命傷となった事故の前日の6月14日も受診。専門医は「意識障害があれば、脳振盪(しんとう)だからスポーツは避けないといけないが、今回は頭痛だけだから」と薬を処方した。久子さんは「少しずつ回復するのかな」と思った。

高校に進み、希望に燃えていた総嗣さん。原因不明の頭痛は取り返しの付かない結果につながる危険な兆候でした。どうすれば防げたのか。久子さんの証言で振り返ります。

 翌日、いつも通り朝食を食べ、鎮痛薬を飲んで登校した。久子さんが夕食のハンバーグをこねていると、電話が鳴った。

 「倉田くんが頭を打って意識不明になり、搬送されました」

 乱取りの稽古中、大外刈りを…

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    内田良
    (名古屋大学大学院教授=教育社会学)
    2021年12月2日17時59分 投稿
    【解説】

    倉田総嗣さんの事故と母親の久子さんとの出会いは、私の研究人生を大きく方向づけ、いまも学校安全の講演会では必ず最後の締めくくりに、総嗣さんのこと久子さんのことに言及します。 柔道部で部員が死亡する。その多くが、高校1年生または中学1年生、発

    …続きを読む