鳥取砂丘(鳥取市)が、宇宙を学ぶ場として利用されている。今月から月面に見立てた観光体験が始まったほか、火星移住を目指した研究の一環としての実習もあった。(長崎緑子)

     ◇

 最新技術を使って鳥取砂丘を月面に見立て、宇宙飛行士体験ができるサービスを、宇宙体験コンテンツを制作するamulapo(アミュラポ、東京都新宿区)が始めた。悪天候時を除き、3月末まで毎週土曜日の夜に20人ずつ体験できる。

 参加者はまず、受付場所でVR(仮想現実)ゴーグルをつけて月面着陸を体験。その後、ゴーグルをAR(拡張現実)グラスに替えて砂丘へ歩く。

 グラスを着けることで、映し出された月面開発の様子を、夜の砂丘の風景に重ねて見ることが出来る仕組み。砂丘では、旗を立てたり、砂をすくったりなど、設定された五つのミッションを実施する。

 友人4人で大阪市から参加した会社員の高浜成生さん(25)は「砂丘はグレーな景色で、寒かったので月面と類似体験ができた。非日常の体験ができて満足です」と話した。

 18歳以上対象。9800円(税込み)。予約は特設サイト(https://lunar-base.jp/別ウインドウで開きます)で受け付ける。

     ◇

 京都大は米アリゾナ大と実施する火星移住の可能性を探る研究の一環として、「砂漠環境実習」を18、19日に鳥取砂丘で開いた。鳥取大学乾燥地研究センターが協力し、乾燥地土壌で行う測定などを紹介した。

 京大や慶大、早大などの学生5人が参加。地球環境の要素である「砂漠」を知り、目指す火星の環境が地球と比べてどれだけ過酷かを研究するため、鳥取砂丘を訪れた。

 実習では、同センターの教員らが、砂丘での二酸化炭素測定や土壌サンプル回収などを紹介。学生も実際に道具を手に取り、土壌サンプルをとっていた。

 砂を手にした東京理科大3年の平嶺和佳菜さんは「上はサラサラしていても、下になると湿り気を感じ、水分があるんだなと思った」と話した。

 学生は、宇宙に移住した際の生存の可能性を研究するために建設された米アリゾナ州の閉鎖環境施設「バイオスフィア2」を、来年2月に訪れる予定という。