ryuchellさんが身につけた、生きるための「武器」

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聞き手・杉山あかり
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 SNSや動画で多様性についての考えを発信するタレントのryuchell(りゅうちぇる)さんが10月、ジェンダーや自己肯定感などへの思いをつづった「こんな世の中で生きていくしかないなら」(朝日新聞出版)を刊行した。本に書かれた、生きづらい世の中で生きていくための「武器」とは。テレビ番組の収録で福岡を訪れたryuchellさんに聞いた。

 ――本のタイトルにはどのような意味を込めたのですか。

 世の中には、自分と反対意見の人が、必ずいると思います。「多様性の社会」って簡単に言うけど、その中では、人に嫌われるし、勉強もうまくいかないし、失恋もしちゃう。そもそも生まれたところからスタートラインが違うとか、いろんな感情で戦っている方がいると思うんですね。

 僕もその経験があり、人には見せない涙をたくさん流してきたので「こんな世の中で生きていくしかないなら」という言葉が一番しっくりきました。

 ――そんな世の中をどのようにして生きてきたのでしょうか。

 自分を隠した中学時代から、少しずつ答えは見えないけどこういう風に生きようと思っていました。自分を出すようになった後もからかわれたけど、自分は自分で色塗りできるんだと気づいて、少し自信が出てきた。

 上京してショップ店員になり、テレビに出るようになったら、いろいろなことを言われました。でも楽しかったので、割り切ればいいやって。長い時間の中で「諦める、割り切る、逃げる、戦わない。そして期待しないこと」という武器を身につけたんです。

 ――「女だから」「男だから」という言葉に縛られて、生きづらさを感じる人もいます。

 九州だと「九州男児」という言葉があるように、「俺についてこい」みたいなのを良いととらえている人もいて、でも逆に生きにくさを感じている人もいますよね。

 同じ考えを持つ人同士ならいいですけど、そうはいかない。これが嫌、これが好きってたくさん意見交換しないと、いい関係にならない。コミュニケーションが大切だと思います。

 ――著書では子育てにも触れています。

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男女格差が主要先進国で最下位の日本。この社会で生きにくさを感じているのは、女性だけではありません。性別に関係なく平等に機会があり、だれもが「ありのままの自分」で生きられる社会をめざして。ジェンダー〈社会的・文化的に作られた性差〉について、一緒に考えませんか。[もっと見る]