熊本城の備前堀、33年ぶりに水抜いた 416匹の生き物を捕獲
2016年の熊本地震で被災した熊本城(熊本市中央区)で、崩れた石垣や塀の復旧工事のため、備前堀の水を抜く作業が行われている。17日には、堀に生息する生き物が捕獲された。
熊本城総合事務所によると、熊本地震では、備前堀に隣接する石垣や馬具櫓(やぐら)に続く塀が崩落した。部材や石材が堀の水の中に落ちたままになっており、これらを回収して石垣や塀の復旧を進める計画。復旧は28年度に完了予定で、堀底の地形測量や工事用仮設道路の設計後、22年度に回収を行うため、堀の水を抜くことになった。
備前堀は1611年~24年ごろにできたとされ、広さ約3700平方メートル。記録では水を抜いたのは1988年以来という。
水抜きは15日から始まった。水深2~3メートルほどあった水を排水ポンプで坪井川に放流し、17日までに水深30センチほどまで減らした。
捕獲作業は、市職員30人ほどが水に入り、一列になって網を動かし、生き物を岸に追い込む作戦だった。しかし、重りが軽かったため網が浮いてしまい、収穫は1匹のみ。重りを補強し、手持ちの網でも捕獲する作戦に切り替えた2度目以降は、丸々と太ったコイなどが次々に捕れ、職員たちから歓声も上がった。
捕獲された生き物は計416匹。熊本博物館の学芸員によって種類ごとに仕分けられた。最も多かったのは特定外来生物のオオクチバスで168匹だった。在来種ではギンブナやトウヨシノボリが見つかった。生き物は、外来生物法に基づき処分したり、坪井川へ放流したりするという。残りの水は18日に抜く予定。