「奇抜な髪形、何であかん?」 私たちが変えた「市内一厳しい校則」

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加藤あず佐
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 「靴や下着は白」「ツーブロック禁止」――。「ブラック校則」とも言われる理不尽な校則規定を、生徒が主体的に見直す動きが全国で広がっている。(加藤あず佐)

きっかけは一通の投書

 大阪狭山市の狭山中学校で11月16日、髪形の校則が変わった。同校は「市内一、校則が厳しい」と言われていた。

 靴・靴下・下着の色は「白」。ツーブロックは禁止。肩にかかる長髪は束ねる決まり。

 全国的に校内暴力が問題化した数十年前に厳しくなったようだが、いつの間にか定着していた。

 だが2年前、生徒会が設置した目安箱に、生徒から一通の意見が寄せられた。「校則を変えた方が良い」。見直しが始まった。

 生徒会は昨夏、どんな校則を見直すべきか全校アンケートをした。生徒の2割、約120人がツーブロックの許可など髪形の見直しを求めた。

 生徒会の米沢柊太さん(3年)は悩んだ。

 「ツーブロック禁止はおかしいけど、奇抜になるのもだめ。でも、どこからが奇抜?」

 刈り上げの範囲や短さによって、印象が変わる気がした。

 「刈り上げは何ミリまでとか、決めた方がいいかな?」。生徒会で数カ月考えたが、答えが出なかった。生徒会長の砂庭香心(ここ)さん(同)は「全員が納得できる基準は、みんなに聞かないと分からないと思った」。

 アンケート用紙に、複数のツーブロックの写真を並べた。「刈り上げは3ミリ未満でも良い?」「モヒカン気味に刈り上げるのはOK?」。再び全校アンケートをした。

 3年生のあるクラスでは、女子生徒の発言から根本の論点が見えてきた。

 「そもそも奇抜な髪形は何であかんの?」

校則の意義を問い直した生徒たち。全校アンケートの結果、作り上げた独自の「ツーブロックの基準」とは――。 後半では、校則見直しに関する全国各地の取り組みと、評論家・荻上チキさんのコメントも紹介します。

ツーブロック、認める?認めない?

 そこから議論が続く…

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    神内聡
    (弁護士〈スクールロイヤー〉・高校教師)
    2021年11月19日2時25分 投稿
    【視点】

    「主権者教育」という語を使うことには慎重であるべきです。現状では外国籍の生徒は18歳になっても有権者になれません。海外でも「主権者教育」という語はほとんど使用されていません。 また、校則を変えることが「成功体験」でもなく、「成功体験」を得

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    氏岡真弓
    (朝日新聞編集委員=教育、子ども)
    2021年11月16日17時33分 投稿
    【解説】

    なぜ教育委員会が見直しの動きを見せているのか。 文科省がこの6月、「校則の見直し等に関する取組事例」という通知を出したのが大きいと思います。「一部の事案において,必要かつ合理的な範囲を逸脱しているのではないかといった旨の指摘も」「校則の内

    …続きを読む