「弟と同じ悲劇を繰り返さない」 コロナ自宅死、遺族会が発足

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沖縄タイムス

 新型コロナウイルスに感染し、適切な医療や健康観察を受けられないまま自宅で亡くなった人の遺族らが「自宅放置死遺族会」を発足させた。共同代表の一人は、8月に那覇市で亡くなった竹内善彦(よしひこ)さん(享年43)の姉の高田かおりさん(46)=大阪府。「失った命は戻らない。せめて同じ悲劇を繰り返さない社会に向かうきっかけにしたい」と訴えている。

 竹内さんの陽性判明を県や那覇市が把握したのは8月6日。何度か電話したものの連絡が取れず、2日後の8日に保健所の職員や警察官が自宅を訪れ、ベッドで亡くなっているのを発見した。

 感染者と丸1日連絡が取れなければ保健所の職員が自宅を訪問することになっていたが、当時は第5波が猛威を振るい、業務はパンク状態。高田さんは「現場の職員は必死で頑張っていただろう」と気遣いつつ、「あと一日早く誰かがつながってくれていれば」と、今も無念さを抱える。

 「医療が逼迫(ひっぱく)していたとはいえ、自然災害とは違う。避けられない死ではなかったのではないか」。会の名称にある「放置死」には、現在の医療提供体制への疑問が込められている。

 既に全国の複数の遺族と連絡を取り合っており、今後は定期的に会合を開く予定。「身内の死に納得できない遺族が各地にまだいるはず。悲しみや怒りを共有し、情報交換できる場になれば」と参加を呼び掛けている。

 同事務局のメールアドレスは、jitakuhouchishi@gmail.comメールする(沖縄タイムス)…

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