10万円給付、自公の体面優先 財務省幹部「バラマキとまらない」

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古賀大己 榊原謙
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 18歳以下の子どもを対象にした10万円相当の給付について、自民、公明両党は10日、所得制限を設けることで合意した。しかし、自民、公明両党が互いの体面を保つことばかりを優先した結果、これだけ巨額の予算を投じる政策の目的や必要性、費用対効果などをめぐる議論はほとんど置き去りにされた。

 子どもへの給付については、富裕層の子どもにも配るのかといった批判もあり、所得制限をかけたものの、対象外となるのは全体の1割程度にすぎない。財務省幹部は「自公が衆院選で掲げた政権公約だから仕方がないが、本当にこれだけの給付が必要なのか疑問は多分にある。バラマキを批判する世論に応える結果だったかと言えば自信はない」とこぼす。

 目的も子育て支援なのか、経済対策なのかがあいまいで、費用対効果を疑問視する指摘が多い。大和総研の神田慶司氏は「子育て支援として、1回10万円を配ることにどれほどの意味があるのか。教育費を支援するなど、社会政策として手当てすべきことだろう。メッセージがよく伝わらない」と批判する。

 国民1人一律10万円が配られた昨年の給付金は多くが貯蓄され、消費に回らなかったとされているが、今回の経済効果はどうか。

 野村総合研究所の木内登英氏…

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    木村草太
    (憲法学者・東京都立大学教授)
    2021年11月11日9時33分 投稿
    【視点】

    記事中の有識者の指摘する通り、給付の政策的な効果自体にも疑問があるが、決定に至る手続きにも問題がある。 2020年の10万円の一律給付については、財政法の専門家から、給付の根拠法が整えられなかった点に批判が出ていた。 なぜ根拠法

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    前田直人
    (朝日新聞デジタル事業担当補佐)
    2021年11月11日0時52分 投稿
    【視点】

    かつて2000年代に財政出動派VS財政再建派の激しいバトルをよく取材したものですが、オープンな場でガンガン議論するわけでもなしにこれだけの巨額のお金の使い道が決まってしまうのは、びっくりです。やはりコロナ禍もあって、税金の使い道について感覚

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