地域再生テーマにフォーラム 国水研

奥正光
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 国立水俣病総合研究センター(国水研、熊本県水俣市)は6日、同市明神町の水俣病情報センターで、「水俣の地域再生と市民・企業・行政のパートナーシップ」をテーマとしたフォーラムを開き、地域の市民ら約100人が集まった。

 国水研は1997年から研究者向けのフォーラムを開いてきたが、今年度は新型コロナウイルス感染症対策のため国外から研究者を招かず、初めて「地域再生」をテーマに掲げた。

 米ロードアイランド大のティモシー・ジョージ名誉教授は「水俣―公害と戦後日本におけるデモクラシー」と題してオンラインで講演。水俣病の歴史を振り返り、水俣病第1次訴訟の提訴(69年)が「遅れた」背景には「訴訟に対する文化的抵抗感ではなく、地域におけるチッソの大きすぎる影響力」があったと指摘。「水俣は日本人が人間と民主主義をどのように定義し、それを実践したかを見いだす場所。70年代初めまでの重要な変化を過小評価しているのでは。東京だけでなく地方に問題意識を持つべきだ」と語った。

 「イタイイタイ病における被害者と企業の“緊張感ある信頼関係”」をテーマに対談したのは、神通川流域カドミウム被害団体連絡協議会の高木勲寛・代表理事と、神岡鉱業の渋江隆雄・元社長。高木さんは、公害防止協定に明記された関係施設への立ち入り調査が現在も続いていることを紹介。渋江さんは、被害者団体と一緒に水質改善に取り組み、徹底的な情報開示などの実績を積んできた経緯を説明。「同じ目的で50年ずっとやってきて価値の共有が生まれ、信頼の土壌になった」と述べた。(奥正光)

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