今から少し前、若者らが国会に詰めかけ、「政治」に向き合った時があった。2015年に安全保障関連法などへの反対運動を展開し、解散した学生団体「SEALDs(シールズ)(自由と民主主義のための学生緊急行動)」。衆院選を前に、当時所属していた大沢茉実(まみ)さん(27)に問うた。いま、政治に何を思いますか――。

 ――SEALDsは安保法反対のうねりを生み出しました

 当時はツイッターで政治的な発言をすると、さまざまな層から多様なリアクションが返ってきました。「就活で不利になる」などと攻撃される一方、同世代のアカウントが「あなたの言っていることは間違っている」と真剣に説得してきた。いま、若者が利用するSNSを注意深く見ていると、つながりたい人とだけつながって、見たいものだけを見ている印象を受けます。

 ――SNS空間が変化してきたのでしょうか

 自分たちだけのための言葉を話す箱に閉じ込められるイメージです。興味や思想の近い人同士で小さな輪ができて、不協和音が許されなくなっていく。必要なら祭り上げられ、不必要ならたたかれる。大事なのは、誰が「いいね」をしているかだと思います。内輪だけで拡散しているものを信用していいのかと感じる。

 ただ、SNSには生きやすい社会にするための工夫、たとえばLGBTQへの理解促進、近所の子ども食堂の紹介などに対する「いいね」もあふれています。自分たちの生活をこれ以上、悪くしたくないという意思表示が見えます。

 ――若い世代が求めているのは何ですか

 ツイッターで「親ガチャ」「上級国民」といった言葉がトレンド入りしたように、社会の中で自分たちがどんな階級を生きているのか知りたいと思っています。その社会の仕組みも知りたい。自分たちの社会を生きようともがいています。SNS上では政治という言葉を使わないだけで、わりと政治的な話をしています。職場でこんな働き方をさせられているとか、理不尽なおじさん上司がいてとか。それぞれの社会で政治に関心を持っている。

 でも、政治家がちゃんと応えられていません。若者と高齢者の投票率の差を考えれば、より高齢の有権者に働きかけるのは当然です。どの世代にも届く話をするのは難しいですが、若者に通じる文脈で説明するのも政治家が果たすべき仕事だと思う。SNSだけではありませんが、若者たちの言葉を見逃さず、政策につなげてほしい。

 ――同世代の人とはいま、何を…

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