諫早湾干拓差し戻し審、和解協議に入らず 年度内に高裁判決の見通し

布田一樹
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 国営諫早湾干拓事業長崎県)をめぐり、堤防排水門の開門を強制しないよう国が求めた訴訟の差し戻し審の進行協議が27日、福岡高裁であり、高裁が提案した和解協議に入るかどうかの話し合いが打ち切られた。開門を求める漁業者側の弁護団によると、次回期日の12月1日に結審し、年度内に判決を出すとの見通しを高裁が示したという。

 開門の是非を巡っては、開門を命じた2010年の福岡高裁判決が確定する一方、干拓地の営農者らが原告となった訴訟では開門を差し止める17年の長崎地裁判決も確定するなど、異なる司法判断が示された状態が続いている。

 高裁は今年4月、「紛争を抜本的に解決するためには、話し合いによる解決のほかに方法はない」との考えを示し、開門の是非には触れずに和解協議の場を設けるよう提案。漁業者側は賛同したが、国は「開門によらない(有明海再生のための)基金による和解が最良」との立場で、「開門の余地を残した和解協議の席に着くことはできない」と従来の姿勢を崩さなかった。両者はこれまで6回にわたって話し合ったが折り合わず、高裁は口頭弁論期日を指定した。

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