衆院選の公示後初の週末を迎えた23日、自民党の岸田文雄総裁ら与野党幹部が九州入りし、街頭で候補者への支持を訴えた。これまでの実績をアピールする与党に対し、野党は共闘による政権打倒を訴えた。

 岸田氏は佐賀、福岡両県の6カ所で遊説。福岡市・天神の街頭演説では、市内を選挙区とする自民候補者らとマイクを握った。

 新型コロナウイルス対策では、ワクチン接種の推進や検査態勢の充実、経口治療薬の実用化の推進などを挙げ、「コロナ禍によって、私たちの国は大きな岐路に立っている。一人一人に日本の未来を選び取ってもらう大切な選挙」と語った。

 さらに「経済復活の鍵は地方にある」と強調。農業や観光の振興に取り組むとし、「成長の果実を一人一人の所得給料を引き上げるという形で、経済の成長を実感してもらえる経済政策を進める」と語った。

 演説の終盤には有権者の声をメモしたという「岸田ノート」を取り出し、「皆さんの声を丁寧に聞き、協力を頂きながら政治を進めていく」と訴えた。

 公明党の山口那津男代表も23日午後、天神の警固公園で演説。消費税の軽減税率導入や不妊治療への保険適用などを挙げ、「皆さんの小さな声を受け止めて政権の中で政策を実現してきた」と実績を強調した。選挙協力しながら連立政権は組まないという野党について、「不安定で不透明な人たちに政権を任せるわけにはいかない」と批判した。

 共産党の小池晃書記局長は23日昼、JR小倉駅前で、北九州市を選挙区とする候補者らと演説。ユーチューブでも同時配信した。

 「多様性」を意識したという虹色のマスクをかけてマイクを握った小池氏は開口一番、衆院選について「野党共闘対自民・公明の構図がはっきりしている」と指摘。北九州市で野党統一候補となった立憲民主党の候補者名を出して支持を呼びかけ、野党共闘を前面に打ち出した。

 野党4党で合意した共通政策20項目にも触れ、「実現するための政権をつくることも立憲民主党と合意した。自民党を倒すためには力をあわせなければいけない。こうなったからには結果を出そう」と強調。熊本市や鹿児島市でも支持を訴えた。

 社民党の福島瑞穂党首もこの日北九州市入り。比例区での支持拡大を訴えた。(神野勇人、山本大輔)