11月下旬に部分再開見通し 熊本豪雨で被災のくま川鉄道
伊藤秀樹
昨年7月の記録的豪雨で被災し、全線運休が続く球磨川(熊本県)流域市町村の第三セクター、くま川鉄道(本社・人吉市)は15日、肥後西村(にしのむら)(錦町)―湯前(湯前町)間18・9キロの部分運行再開が11月下旬になるとの見通しを明らかにした。
くま川鉄道と県、流域10市町村でつくるくま川鉄道再生協議会の総会で報告した。部分運行は3両を使用し、ダイヤは現時点で未定。車両輸送や試運転、運行再開に必要な手続きや調整が済み次第、再開日を公表するという。
くま川鉄道は総会で、国が復旧費の97・5%を支援する「特定大規模災害等鉄道施設災害復旧事業」を活用するために策定が必要な長期運行計画も提示し、承認された。
計画は全線復旧後の10年を期間とし、持続可能な鉄道運行のため地方自治体などによる継続的支援などを明記。地域住民の利用促進や観光需要の創出などで、豪雨災害前の2019年度で年間13万人だった一般旅客数を計画最終年度で15万8千人に増やすことをめざす。
豪雨では、人吉温泉(人吉市)―肥後西村間5・9キロで広範囲に土砂が流入するなどし、国登録有形文化財の球磨川第四橋梁(きょうりょう)が流失。保有する全5車両が浸水した。
永江友二社長は総会後の会見で、「地域の人にマイレールの意識を持って頂き、地域にずっと続いてきた鉄道ということを皆さんに意識してもらいながら存続していければと思う」と話した。