初の登録無形文化財に「書道」と「伝統的酒造り」 文化審答申

神宮桃子
[PR]

 文化審議会は15日、改正文化財保護法で新設した登録無形文化財に、「書道」と「伝統的酒造り」を登録するよう文部科学相に答申した。従来の指定制度に比べて規制や基準が緩やかで、幅広く無形の文化財を保護して継承を後押しする。

 書道は漢字の伝来以来、中国の優れた書から技法を吸収し、平安中期以降に日本独特の表現が生まれ、和歌文化とともに仮名の書が発展。広く生活に浸透し、歴史上の意義があり芸術上の価値が高いと評価した。

 伝統的酒造りは手作業のわざを指し、日本酒焼酎、泡盛、みりんなどの酒造りに生かされてきた。酒は「古事記」にも登場し古くから日本に根ざしてきた食文化の一つで、歴史上の意義があるとした。

 書道は約40の書道団体の書家による「日本書道文化協会」(井茂圭洞会長)、伝統的酒造りは全国の杜氏(とうじ)らが参加する「日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術の保存会」(小西新右衛門会長)を保持団体として認定するよう答申した。井茂会長は「世界に誇る日本の伝統文化である書道が国の登録無形文化財とされることは極めて有意義で喜ばしい」、小西会長は「我が国の文化として認められたこの技術を、次の世代へ確実に継承するとともにさらに向上させていく」とコメントした。

 2件はともに、ユネスコ国連教育科学文化機関)の無形文化遺産登録を目指す動きがある。

 文化審議会はまた、重要文化財に昭和初期の鉄道省営乗合(のりあい)自動車(リニア・鉄道館)など7件の美術工芸品を指定するよう答申した。ほかの重文指定は次の通り(かっこ内は所有者や保管場所)。

 木造十一面観音立像(百済寺)▽木造弥勒菩薩(ぼさつ)坐像(ざぞう、西大寺)▽木造金剛力士立像(石手寺)▽多賀城跡出土漆紙文書(宮城県多賀城跡調査研究所・東北歴史博物館)▽ゐのくち渦巻(うずまき)ポンプ(博物館明治村)▽キハ四二〇五五号気動車〈キハ〇七形四一号気動車〉(九州鉄道記念館)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません