近鉄、新たな観光特急「あをによし」がデビューへ 奈良に照準

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筒井竜平
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 近畿日本鉄道は8日、大阪、奈良、京都の3都市を結ぶ新しい観光特急「あをによし」を来年4月29日から運行すると発表した。コロナ禍の収束を見据え、インバウンド訪日客)の人気が高まっていた奈良に向け、大阪や京都からの利用を見込む。

 「あをによし」は古都・奈良にかかる枕詞(まくらことば)。週6日、大阪難波―近鉄奈良―京都の3駅を乗り換えなしの直通で結ぶ。列車は4両1編成で、約3・3億円をかけて既存の特急車両を刷新した。座席は通常の3分の1(84席)に抑え、「車窓の景色をゆったりと楽しめるようにした」(担当者)という。外装は、冠の色で階級をあらわした「冠位十二階」で最上位とされた紫色をあしらった。

 近鉄の路線距離は501キロで、JRをのぞく全国の私鉄で最も長い。沿線に観光地も多く、これまでも大阪、京都、名古屋の3都市から伊勢志摩の賢島に向かう「しまかぜ」、大阪と奈良・吉野を結ぶ「青の交響曲(シンフォニー)」の二つの観光特急を走らせ、需要を掘り起こしてきた。

 そのため、コロナ禍で観光需要が落ち込んだ影響も大きく、親会社である近鉄グループホールディングスの2021年3月期の売上高は前年より4割減。関西の大手私鉄で最も大きい下落率だった。国内の観光客に加えて訪日客の利用も見込める「あをによし」の導入で、てこ入れを図る。

 奈良は東大寺など多くの文化…

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