外国人雇用の「落とし穴」は? 専門家らが記者と議論 記者サロン
外国人を雇ったり、仕事をまかせたりするときに、オーバーステイ(超過滞在)など非正規滞在の外国人を働かせていたとして法律違反に問われるケースが相次いでいる。どんな点に気をつければいいのか。
朝日新聞記者と外国人の就労問題の専門家によるオンライン記者サロン「外国人雇用の『落とし穴』~相次ぐ法律違反のナゼ」がこのほど開かれ、600人超の参加申し込みがあり、約300人が視聴した。
記者サロンは8月25日にあり、ゲストの弁護士杉田昌平さんと、人材サービス大手ウィルグループの外国人材就労サポート事業担当の壇正美さんが、主に雇う側はどんな点に注意すればいいのかについて議論した。GLOBE編集部の織田一記者が進行役を務めた。
記者サロンでは、ゲストの2人が、外国人を雇用する際の基本知識となる「在留資格」と、その情報が記載された「在留カード」について解説。杉田さんは就労が認められていない外国人を雇って出入国管理法違反(不法就労助長)で検挙された事例を挙げながら、在留カード原本の確認の重要性を強調した。
壇さんは、多くの外国人就労に関わってきた経験を踏まえ、精巧な偽造カードが出回っている背景を説明。偽造を見抜くポイントを紹介するとともに、不法就労助長を問われる事態にならないよう、どのような社内体制を整えておくべきか説明した。
外国人を直接雇用しておらず、人材派遣会社から派遣されている会社の法的責任についても意見が交わされた。杉田氏は、一部の宅配代行サービスの外国人配達人を巡る問題点も指摘した。
イベント参加者や直後の見逃し視聴を見た人たちに実施したアンケートでは、7割超から「満足した」「まあ満足した」との回答を得た。「在留カードをめぐって、これまで全く知らなかった情報を得ることができた」(群馬県・50代男性)、「在留カードの偽造が非常に精巧に行われるようになっていることを知ることができ、雇用者側が尽くすべき処置について、現場に詳しい人の話を聞くことができた」(千葉県・20代女性)などの意見があった一方、「労働者の雇用側・使用者側の立場に向けた話のボリュームが大きすぎ、生活者としての外国人労働環境整備などの論題の比重が少なかった」(東京都・30代女性)といった意見も寄せられた。
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