「ありがとう!」おもちゃ握り見送った4歳も 2階建て新幹線引退

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高橋俊成 小川聡仁
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 記録にも記憶にも残る車両が1日、20年の定期運行を終えた。国内最後の2階建て新幹線「E4系」、愛称「Max」。16両編成時の定員1634人は高速鉄道として世界最大を誇り、越後平野や越後山脈を快走する大きな車体は新潟の風物詩でもあった。別れの日、多くの人が新潟駅を訪れ、思い出を語り、感謝した。

 午後8時21分、新潟駅11番線ホーム。数え切れないほど多くの人が集まる中、定期運行最後のE4系「Maxとき348号」が、長い警笛を鳴らして動き出した。線路の先に車体が見えなくなると、ホーム上で大きな拍手もわき起こった。

 「いろいろな思い出がこみ上げてきて、泣きそうでした」。新潟市中央区の会社員、北園舞さん(42)は人混みの間からスマートフォンを差し出し、動画を撮影していた。先代のE1系からMaxには数え切れないくらい乗った。

 大学の合格発表、仕事の帰り、家族旅行……。人生の様々な場面にMaxがいた。「当たり前の存在だったのに大切な人がいなくなってしまった気分。本当に、お疲れさまでした」

 「自分の少年時代が終わるような気がする。一番好きな電車だった」。長岡市の男子中学生(14)は、小学生の時、家族3人で乗ったことを思い出していた。母と弟と並んで座り、2階からの景色に目を奪われた。この日も長岡からE4系で新潟に。「最後に乗れてうれしいけど、やっぱりさみしい」と言い、再び最終列車に乗り込んだ。

 午後2時ごろ、両親と新潟駅に来た新潟市東区の太田俊平くん(4)は「Maxとき、ありがとう!」と笑顔で出発を見送った。2歳の誕生日にもらったおもちゃのMaxを、ぎゅっと握っていた。

 E4系で5歳の長男と長岡か…

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