9月にデジタル庁が発足し、官公庁でも民間企業でも、こぞってデジタル化への取り組みが進められています。一方、採用現場では人材不足が指摘され、争奪戦となっています。

 デジタル人材が育たない背景に、「ITゼネコン」と呼ばれる多重下請け構造の問題を指摘する声があがっています。

 どういうことなのか。現場を取材しました。

言われたことこなすだけ 「成長望めない」

 「言われるがままに動くロボットみたい」

 20代のシステムエンジニアの女性は3カ月間、そう思いながら過ごした。

 IT業界で「下請け」とされている企業に新卒で入社。5年ほど前、都内のIT企業が請け負ったある企業の在庫管理システムの開発を「2次請け」として受注し、その企業の社屋にほぼ毎日、上司ら3人と出勤した。

 仕事は、システムの設計が書かれた、全体の中の一部分の仕様書を書くことがほとんど。システムのフローチャートで処理の流れを書いたり、実際のシステムと仕様書が矛盾していたら直したりするだけで、指示された仕事が終われば上司に伝え、新たな仕事をもらう繰り返しだった。

全体像がわからない

 同じフロアには1~3次請けの企業の社員の300人ほどが作業していた。

 プログラムの設計図ともいえる…

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