マンガで研究に憧れた森さん 「面白い」で学部変えて挑んだ先に
岡山県倉敷市で育った森和俊さんは、小学生のころに読んだ漫画がきっかけで、研究者になりたいと思った。読み切り漫画で、主人公の零戦の撃墜王は目が見えないのに無傷で帰ってくる。「実は工学博士で、軍服を脱ぐと下に自分がつくった電子部品があって、暗闇でも相手の情報がわかる。かっこいいと思いました」。かつての取材に、こう語った。
中学生のとき、新聞で素粒子の記事を読んだ。物質を形づくる原子よりも小さな「クォーク」だ。「いったい何個のクォークがあるのだろう」。まさに、中学3年生のときの1973年、京都大の助手だった小林誠さん、益川敏英さんが、当時は3種類しか知られていなかったクォークが6種類以上あるという理論を発表。クォーク研究が真っ盛りだった。いずれもノーベル物理学賞を受賞した湯川秀樹博士や朝永振一郎博士のいた京都大理学部で、素粒子物理学を学ぶことにあこがれた。
一方、暗記が多い生物学は「とても嫌い」で、高校2年からは生物の授業を選ばなかった。「高3のころ、理学部は無理かなと思って、京大工学部の化学系に入学しました」
大学に入り、米国で活躍する…