北ミサイル、迎撃に難? レベルに疑問、「余計なコスト狙い」の声も

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牧野愛博 松山尚幹 ソウル=鈴木拓也
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 北朝鮮が、新たに開発した極超音速ミサイル「火星8」を初めて試射したと公表した。現状の防衛態勢では迎撃が難しく、実戦配備されれば日本の安全保障にも影響を及ぼす可能性があるが、専門家からは北朝鮮の技術レベルに疑問の声も出ている。

 防衛省などによれば、極超音速ミサイルの速度はマッハ5から20程度。低高度を軌道を変えて飛行できる。ロシアは2019年に「アバンガルド」を実戦配備し、現在のミサイル防衛では対応できないと主張している。中国も同年の軍事パレードで「DF17」を公開した。元航空自衛隊幹部は、火星8の形状がDF17に似ていると指摘する。

 現在の日本の弾道ミサイル防衛は、上層部をイージス艦搭載の迎撃ミサイル「SM3」、地上近くの下層では地対空誘導弾「PAC3」で迎え撃つ二段構えとなっている。迎撃にはミサイルを継続的に追う必要があるが、この元幹部は「極超音速ミサイルが低空で飛来する場合、米国の早期警戒衛星発射を探知できても、レーダーでの追尾は難しい」と話す。

 極超音速ミサイルの探知・追尾などのため、防衛省は今年度予算で多数の小型人工衛星を打ち上げる「衛星コンステレーション(監視衛星群)」の研究費を計上したが、計画は動き始めたばかりだ。

 迎撃手段についても、元陸自幹部は「(自衛隊も研究している)レールガン(電磁砲)のような兵器がなければ、撃墜できないだろう」と語る。

 ただ、北朝鮮が28日に発射したミサイルの飛距離は200キロ程度だったとの情報もあり、韓国の国防関係者の間では試射が失敗だったとの見方もある。防衛省幹部は「本当に成功しているのか、よく分析する必要がある」と話す。

 極超音速ミサイルは米国も試験飛行に成功した段階とされる。自衛隊元幹部らは異口同音に「中ロの技術協力がなければ、北朝鮮だけで開発はできない」と断言する。元幹部の一人は「北朝鮮は、極超音速ミサイルを開発した可能性があると日米韓に認知させ、防衛戦略に余計なコストをかけさせる狙いではないか。短距離だから脅威ではないと考える米国と、日韓を離間させる考えもあるだろう」と分析する。

 通常兵器が老朽化している北…

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