河野氏の「ブロック」、11年間のSNS歴を調べて浮かんだある傾向

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 29日に投開票される自民党総裁選では、候補者の河野太郎行革担当相が自身のツイッターで、特定の人からのアクセスを制限する「ブロック機能」を多用してきたことが注目された。11年前にアカウントを開設して以来、公私にわたる内容のつぶやきを頻繁に投稿して240万を超えるフォロワーを持つが、この間に「河野氏にブロックされた」とツイッター上に投稿したアカウントを調べてみると、ある傾向が浮かび上がってきた。

 河野氏がツイッターのアカウントを開設したのは2010年1月。ツイートは自身のテレビ出演の告知や昼食の内容といった日常の様子のほか、ワクチン担当相を兼任する今は全国の年代別の接種状況なども頻繁に投稿している。

 開設時から時期を問わず、ツイッター上では「ブロックされた」とする報告がたびたびツイートされてきた。これまでどのくらいの人がブロックされているのか、外部から把握することはできない。9月18日に出演したネット番組で河野氏は、「誹謗(ひぼう)中傷や罵詈(ばり)雑言をおっしゃるのは勝手ですけれども、それを人に見せるのを強制するのは、相手が芸能人であれ、政治家であれ、誰であれ、できないんだろうと思います」と説明。「私がブロックしないと、私のフォロワーが誹謗中傷のリプ(リプライ)を読まなければいけない。みんなが楽しくやろうと思っている時に、そんなものを私のフォロワーに読ませる必要はない」とブロックする理由を語った。

 ブロックされると、自分がログインした状態では河野氏のツイートを見られない。今月に入って総裁選への立候補が取りざたされ始めると、「#河野さんにブロックされています」などのハッシュタグが増え、「大臣が公務で知り得た情報に国民としてアクセスできません」などの投稿が相次いだ。

 朝日新聞ではツイッターの検索機能を使って、①開設時~第3次安倍改造内閣での初入閣前(10年1月~15年9月)②初入閣~外相就任前(15年10月~17年7月)③外相就任~防衛相を経て行革相就任前(17年8月~20年8月)④行革相就任~ワクチン担当相を経て現在(20年9月~21年9月)の四つの期間で100件ずつ、計400件の「ブロックされた」という投稿を抽出。東京大大学院の鳥海不二夫教授(計算社会科学)が作成した、投稿主が安倍晋三前首相に対して好意的か批判的かを判別するツールの提供を受けて傾向を分析した。

 ツールは19年2月~20年7月に、ツイッターで安倍氏について好意的もしくは批判的な内容を10回以上、ツイートかリツイートしたアカウントを機械的に収集し、「好意的なグループ」(約9万アカウント)と「批判的なグループ」(約13万アカウント)にまとめたもので、これを「ブロックされた」と報告していた計400アカウントと照合。マッチする数を集計した。鳥海教授は「当時の政権に対する態度で、政治思想が推定可能と考えられる」としている。

 その結果、①の期間の後半から②の期間にかけては、「好意的」なアカウントをより多くブロックしていた。しかし外相から防衛相に就いた③の期間から傾向が逆転し、「批判的」なアカウントを多くブロックするようになっていた。①と②の期間で「好意的」なアカウントへのブロック数は、「批判的」なアカウントの1・5倍ほどだったが、④の期間では「批判的」なアカウントへのブロック数が「好意的」なアカウントの2・5倍近くになっていた。

 鳥海教授は「ブロックされたツイートの全量を確認したわけではないので確実なことは言えないが、傾向として17年半ばごろから好意的な層のブロックの報告が減っていると言える。もちろんそうした層があえて『ブロックされた』とつぶやいていない可能性はある」と話す。

 13年ごろのツイートを見てみると、「河野太郎、お前が親の代わりに責任とって、日本国民に謝罪しろ」「自民党でも売国奴を許さない」などとつぶやいたアカウントがブロックされており、河野氏の父・洋平氏が官房長官時代に発表した、慰安婦問題について「心からのおわびと反省」を盛り込んだ「河野談話」に否定的な人たちへのブロックが見受けられた。

 一方、18年ごろには「自衛隊は憲法上の『軍隊』ではないのに、他国の軍事パレードに参加するのは大きな問題」と、河野氏がフランスでの軍事パレードに出席したことを批判するツイートなどがブロックされていた。

 また、河野氏について批判も…

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