いつも緊急、信じられない安全 金田一秀穂さんが感じた言葉の無力さ

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聞き手・神宮桃子

 新型コロナの感染が広まったこの1年半、新しい言葉が次々と使われるようになった。「コロナ禍」「3密」「ステイホーム」。文化庁の「国語に関する世論調査」では、これらの言葉をそのまま使うのがいいと答えた人が6割程度いた一方で、そうでない人も3割超いた。日本語学者の金田一秀穂さん(68)と哲学者の古田徹也さん(42)に、調査結果の見方やコロナ下の言葉のありようを聞いた。

日本語学者・金田一秀穂さん「効果ない『緊急事態』、意味をなくした言葉」

 「クラスター」や「ウィズコロナ」など、本当はもう少し時間をおいて、わかりやすい言葉にしたほうが良かったけれど、コロナの蔓延(まんえん)に社会が追いついていないのでしょう。「ステイホーム」なんて、犬に命令しているようですよね。

 コロナという、えたいの知れないウイルスがあることは、もうどうしようもない。現状をどう言えば良いかわからないから、「コロナ禍」と名づけることで私たちは整理がついて、少し安心できるわけです。「コロナ禍」とまず認めて、ではどうしたらいいだろう、と次に進むことができる。それが言葉の働きなのでとても重要です。でも、実際のひどいコロナ禍というのは言葉では言い尽くせない。

 政治家は言葉を乱発する。必…

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