ジャパンライフ山口元会長「知ってほしいことが…」 法廷意見の全容

新屋絵理
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 磁気治療器のオーナー(販売預託)商法を展開したジャパンライフ(東京、破産手続き中)をめぐる巨額詐欺事件で、約1億6500万円の詐欺罪に問われた元会長・山口隆祥被告(79)の初公判が22日、東京地裁であった。山口被告は「全て認めます」と起訴内容を認め、「心からおわび申し上げます」と頭を下げた。

 ジャパンライフは、顧客が購入した磁気ベストや磁気ネックレスを預かり、別の人に貸し出す販売預託商法を展開。「レンタルオーナー」となる顧客には配当の支払いを約束していた。

 起訴状によると、業務全般を取り仕切っていた山口被告は2017年、実際は資金繰りが逼迫(ひっぱく)して配当を継続できる見込みがなかったのに、業績が好調だと装って計20人の顧客から計約1億6500万円をだまし取ったとされる。

 山口被告はこの日、起訴内容を認めたうえで「ジャパンライフの創立当初から詐欺商法を目的に始めたものではない」と説明。「新規の売り上げは今後も続くという甘い見通しから債務超過になった」と述べた。

 同社は18年3月に破産した。債権者集会の報告書によると、被害者は約8千人、被害額は少なくとも約1600億円とされる。今年7月までに不動産売却などで約31億円を回収し、事務経費などを差し引いた約26億円が配当原資になる見込みだという。

    ◇

 山口被告が法廷で述べた意見は次の通り。

 起訴内容は全て認めます。

 ただ公判を始めるに際して、裁判所に知ってほしいことがありますので、一言述べさせていただきます。

 私は人々の健康と豊かな生活のために科学的に証明されている磁気治療器を開発して1974年にジャパンライフを創立しました。

 磁気マットレスは大変好評で、700万枚を買っていただきました。装着タイプの磁気治療器は価格が高いため、レンタルを始めました。レンタルだけでは商品の製造資金が不足したことから、資金確保のためのオーナー制度を採用して爆発的に販売個数が増えました。

 そして生産が追いつかなくなり、自社で生産工場や研究所を造り、商品を多くの人たちに知ってもらって購入していただくために全国に直営の店舗を設け、当初お客さんだった人たちが事業者となり、力のある人が加盟店やアンテナショップを設けて、全国の人々に磁気治療器の良さを身をもって体験し、知人らの紹介をしてもらったのです。

 したがって創立当初から顧客をだます詐欺商法を目的として始めたものではないことをご理解いただきたいのです。

 ただ、事業が拡大し、それが事業者の活動のたまものであって、それに報いるために、事務手数料を支払う制度を設けましたが、その額の設定が甘かったことと、事務手数料の支払い原資のほとんどが新規の顧客の売り上げに頼ることとなりましたが、新規の売り上げは今後も続くだろうという甘い見通しから、ある時期から少しずつ債務超過となったうえ、消費者庁行政処分を受けて、売り上げが減少しました。契約形態を業務提供誘引販売契約やリース債権譲渡契約に変えれば消費者庁の行政処分もクリアできて、また売り上げが回復するだろうと思いながら、一方ではもしかしたら回復できないかもしれないとの不安も抱きつつ、この状態を顧客に説明しないで事業を続けたことが、このたびの事件を起こしてしまった原因であることに気づき、起訴内容を認めました。

 大変申し訳なく思っております。心からおわび申し上げます。(新屋絵理)

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