「これ以上何をすれば」増える未就学児の感染 苦悩する保育現場

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添田樹紀 寺尾佳恵 本多由佳
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 新型コロナウイルスの「第5波」は、就学前の子どもたちにも及ぶ。大阪府内では6月21日~9月15日に4千人超の感染が確認された。おもちゃの消毒や昼食時の黙食といった感染防止策に注意を払っても感染者が出る現状に、保育現場は「これ以上、何をすればいいのか」と苦悩する。

数十分ごとに消毒しても感染 登園させない保護者も

 大阪市内の認可保育園は8月下旬、園児・職員計5人が感染し、8日間休園した。今春の「第4波」でも休園しており、2回目だった。

 園児がよく触れるドアノブや窓ガラス、おもちゃなどを「なめても感染しないように」と、数十分ごとに消毒していた。昼食時は飛沫(ひまつ)防止のアクリル板を置き、黙食を呼びかけた。副園長は「子どもらしくないぐらい行儀良く食べていた。園の雰囲気も変わった。これ以上何をすればいいのか」と思い悩む。

 濃厚接触者などを調べる保健所の疫学調査では、「職員と園児は正対して話をしたか」「(感染した園児は)ほかの園児とおしゃべりをしていたか」と聞かれた。どれも保育現場では大切なこと。副園長はやるせなさを覚えたという。「それをしていないなら、保育ができていないことと同じなのに……」

 休園をめぐり、保護者からは「もう有給休暇を使い切っている」「ベビーシッターをお願いした」という声が寄せられた。副園長は「仕事を休まなくてはいけない保護者のことを考えると心苦しかった。誰が悪いわけでもなく、もどかしかった」と振り返る。

 保護者の女性(41)は保育園の再開後も、5歳の次女を登園させていない。仕事の都合がつけば女性や夫が自宅で一緒に過ごすが、小学3年の長女と次女の2人だけ、次女だけで留守番をしてもらうこともあるという。

 次女は友達と遊びたがるし、保育園の対応も理解している。それでも「小さい子どもはマスクを外す。ワクチンも打てない。親が守るしかない」と思う。少なくとも緊急事態宣言が解除されるまで、登園させないつもりだ。

 京都市内の認可保育園でも複数人の感染が確認され、8月中旬から約2週間休園せざるを得なくなった。再開前にトランプは1枚ずつ、パズルは1ピースずつ、棚の後ろの壁まで、3日かけて消毒した。

 昼食時、園児は同じ方向を向いて座り、黙食をするなど感染対策は徹底してきた。熱中症になる心配もあり、園児のマスク着用は呼びかけていない。

 副園長は「感染者が出るのではないかという不安は常にあり、緊張状態は続く。家庭と協力し、なんとか再び休園することがないようにしたい」と話す。

■大阪府内は「第4波」の2倍…

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