「SOGIハラ」で労災認定 性別変更した看護助手が精神障害を発症

大貫聡子
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 性別変更した看護助手が精神障害を発症したのは、職場で性的指向や性自認について侮辱される「SOGI(ソジ)ハラ」を受けたためだとして、茨木労働基準監督署大阪府茨木市)が労災認定したことが分かった。SOGIハラは昨年6月、厚生労働省の指針にパワハラにあたると明記されたが、実際に労災認定されたケースが明らかになるのは珍しいといい、看護助手の代理人弁護士は「抑止の意味で意義は大きい」と言う。

 SOGIとは、性的指向「Sexual Orientation(セクシュアル・オリエンテーション)」と、性自認「Gender Identity(ジェンダーアイデンティティー)」の頭文字を取った言葉。「LGBT」などと呼ばれる性的少数者かどうかに関係なく、すべての人が持つ性別や性的指向に関わる概念を指す。

男性のような名前で呼ぶ パワハラと認定

 労災認定をめぐる調査書などによると、看護助手(50)は男性として生まれたが、幼い頃から性自認は女性だった。性同一性障害特例法に基づき、2004年に性別を女性に変更。13年から大阪府の病院で働き始めた。

 調査書は、看護助手が精神障害を発症する前のおおむね半年間に、職場の病院で男性のような名前で呼ばれていたなどと認定。こうした言動は「(看護助手の)性的指向・性自認に関する侮辱的な言動」で、パワハラにあたるとした。その上で人格や人間性を否定するような攻撃が執拗(しつよう)に行われたケースに該当し、心理的負荷は3段階で最も上の「強」と判断した。

 病院側は「職員の発言で精神障害を発症したとは考えられない。職場外にストレス原因が存在した可能性も否定できない」などと反論していた。

 労災認定は今年2月5日付。看護助手は病院を辞めている。(大貫聡子)

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