パナが米国でお手伝いアプリ グーグル元幹部が開発

森田岳穂

 パナソニックは10日、仕事と家庭の両立で忙しい人の様々な用事を、担当スタッフがオンラインで手伝うサービスを米国で始めたと発表した。手がけたのは米グーグル元幹部の松岡陽子常務。「ソフトとハードの融合」に向けた改革を進めるために外部から招いた人材の一人で、2年前に入社してから初めての具体的な成果となる。

 9日に米シアトルで始めたサービスは、利用者がスマートフォンチャットアプリでスタッフと連絡を取り合う。子どもの習い事の講師探しや、家族旅行の手配、親戚へのプレゼント選びなど、様々な手伝いを頼める。

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パナソニックが米国で始めたお手伝いサービスのイメージ画像=同社提供

 例えば家の修繕が必要なときは、スタッフがAI(人工知能)を活用して最適な業者を選び、見積もりや手配を代行してくれる。

 利用料は月149ドル(約1万6400円)で、相談回数に制限はない。同社は紹介した業者からも仲介手数料を受け取り、収益につなげる。

 その先に構想するのが、本業との連携だ。利用者に自社の家電や住宅設備を紹介することなどを想定しているとみられる。松岡氏は10日のオンライン説明会で、「コロナ禍で私自身も仕事と家庭の両立が難しくなり、このサービスを開発した。将来的には介護分野などパナソニックの様々な商品やサービスと連携できると思う」と話した。

 サービスの提供地域は今後拡大を検討する。日本での展開は未定という。

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パナソニックの松岡陽子常務=同社提供

 松岡氏は16歳で渡米してプロのテニス選手を目指したが、けがで断念。マサチューセッツ工科大学などで電気工学とコンピューター科学を学んだ後、グーグルで次世代技術の開発を担う部門「X」を設立し、ウェアラブル端末や自動運転技術の開発に携わり、バイスプレジデントも務めた。スマートホーム部門「ネスト」のCTO(最高技術責任者)を務めたり、米アップル製品の開発に携わったりもしたという。米国のIT業界では著名で、「ヨーキー」の通称で親しまれている。

 パナソニックには2019年に役員待遇の「フェロー」として招かれた。翌年に常務に昇格し、米シリコンバレーを拠点に新規事業を探ってきた。縦割りなど日本の大企業に多く見られるとされる組織文化の打破も期待されている。

 同社は家電事業などは堅調だが、より大きく成長するための新規事業を見つけあぐねている。そこで、ものづくりだけに頼るのでなく、ソフトとハードを組み合わせた事業構造への転換を急ごうと、外部人材の登用を進めてきた。

 16年には外資系金融機関のアナリストだった片山栄一氏を合併・買収(M&A)戦略の担当役員に起用(現在は常務)。半導体など赤字事業からの撤退や、経営方針の策定などを任せてきた。

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元外資系金融機関アナリストで現パナソニック常務の片山栄一氏=2017年

 17年に専務として迎えた元日本マイクロソフト会長の樋口泰行氏は、企業向けのシステム事業を統括。7千億円超を投じて買収する米ソフト大手ブルーヨンダーが強みを持つ供給網の効率化ソフトと、パナソニックのカメラやセンサーなどを組み合わせた事業を指揮している。(森田岳穂)

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元日本マイクロソフト(MS)会長でパナソニック専務の樋口泰行氏=2017年