高齢化に悩む加賀市がめざす「電子国家」 マイナカード交付率は1位
最もデジタル化が進む自治体はどこか。そんな問いに関係者の多くが名前を挙げる都市が、石川県にある。人口6万5千人、九谷焼や温泉で知られる加賀市だ。歯止めがかからない高齢化、過疎化に立ち向かうために、行政主導のデジタル化が切り札になるというのだ。お手本は欧州の「電子国家」エストニアだという。
昨年6月、加賀市役所の向かいにある市民会館の大ホールに、マスク姿の市民が次々と訪れていた。目当てはマイナンバーカードを申請すればもらえる5千円分の地域商品券。こうした特設会場を商業施設やスーパー、介護施設など市内に53カ所つくった。
今年6月までに2億4千万円を投じたコロナ禍の経済対策で、市のカード交付率は急伸。8月1日時点で加賀市は69%で全国平均36%を上回り、市・特別区で1位だ。宮元陸・加賀市長(64)は「マイナンバーカードはデジタル化のインフラと言える。道路をつくらないと人が歩けないのと同じで、交付率を高めないと話が始まらない」と話す。
基幹産業も苦境 「消滅可能性都市」に
1985年に8万人だった加賀市の人口は、今は1万5千人も減少。14年には民間研究機関「日本創成会議」の報告書で、40年までに行政機能の維持が難しくなる「消滅可能性都市」にも挙げられた。
宮元市長は「基幹産業も軒並み厳しい。人口減に歯止めをかけ、生き残るにはデジタル化しかない」と、5年ほど前からプログラミング教育の推進などに取り組んできた。
マイナンバーカードの普及は…
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- 【視点】
テクノロジーの真価は、地方にこそ現れるというのは、常々感じていることです。 商品券などをインセンティブに、マイナカードの交付率を上げている石川県加賀市。 普及しないのはメリットを感じないから、を逆説的にとらえた作戦ともいえます。
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