失明も5分で切り替えた選手 医師も「人間じゃない」

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岩佐友
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 待ちに待った日がやってきた。5人制サッカー(ブラインドサッカー)日本代表の佐々木ロベルト泉(43)。30日、4連覇中の母国ブラジルと対戦する。

 サンパウロ出身。グアバ農家の家庭に生まれ育った。幼少期は畑の横で友だちとサッカーやバレーボールに明け暮れた。

 幸せな生活が一変したのは16歳の時だ。父が脳梗塞(こうそく)で倒れた。「お母さんとお姉ちゃん、妹の面倒を見てくれ」と最後に言葉を残し、息を引き取った。「日本なら稼げる」と親族に聞いて、18歳で祖父母の故郷、日本にやってきた。

 知っていた日本語は「ごはん」だけだったが、陽気な性格で積極的にコミュニケーションを取った。「あなたは魅力的」「今日遊びましょう」――。まずは女性を誘う言葉から覚えた。

 来日して10年が経ち、日本での生活に慣れてきた2006年11月のことだった。茨城県牛久市で乗用車を運転して仕事に向かう途中、対向車と衝突した。

 心臓に二つの穴があき、生死をさまよった。意識が戻ったのは16日後。視界は真っ暗だった。妹の声が聞こえた。「あなたはもう見えない。眼球がないの」

 現実を受け止められず、涙が…

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この記事を書いた人
岩佐友
スポーツ部
専門・関心分野
サッカー、バレーボール