「どうしても初日に」渋谷の若者接種、並んだ理由は?
東京都が若者向けに渋谷区に設置した新型コロナウイルスワクチン接種会場では予約なしで接種が受けられることもあり、初日の27日は早朝から行列ができた。開始予定は正午からだったが、東京都は整理券を配って対応する事態になり、午前7時半には「受け付け終了」をツイッターで告知。その後も希望者が後を絶たず、都職員らが「受け付けを終えました」と呼びかけた。都は28日以降、抽選制に切り替える方針。
この会場では、米ファイザー社製のワクチンを使用。対象は16~39歳の都内在住もしくは在勤・在学者で、接種券と身分証は必要だが、事前予約なしで接種を受けられるのがポイントだった。東京都は当初は1日200人程度を見込んでいたが、その想定を上回る若者が訪れた。
東京都品川区の会社役員、関口夏光さん(38)は未明の午前1時ごろから、職場の後輩2人と並んだ。すでに男女4人が先着していたといい、事前に購入した椅子に座って接種を待った。正午すぎに終え、「仕事柄、人と接する機会が多い。本当に安心した」。これまで接種ができなかったのは、予約が取れなかったから。大規模接種会場のネット予約を5~6回試みたが、パソコンの画面がフリーズ。住んでいる品川区では、一番時期が早いもので9月26日の予約枠しかなかった。副反応は心配だが、「感染者が増えている中で、実際に感染して苦しむよりよっぽどいいです」。
板橋区の20代の男性会社員は、神奈川県内にいる家族が感染。「弟と妹が1週間ほど前に感染し、ひとごとじゃないと思い、どうしても初日に打ちたいと思った」。もともと、始発で来るつもりだったが、午前2時ごろにツイッター上で「すでに列ができている」との情報を知り、タクシーを呼んで午前4時ごろから並んだ。「まずは無事に打ててひと安心」
本来の受け付け開始時間の正午に合わせて来た人は、接種を受けられなかった。午前11時半に来た葛飾区の主婦(39)は「自分では早く来たつもりだけれど、想像以上にみんな打ちたいのだと感じて驚いた」。6~8歳の小学生の子ども3人を育てている。区では予約が取れず、「子どもの学校が始まり、感染への不安は大きい。早くみんなが接種できる体制を整えてほしい」と訴えた。(山口啓太)
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