「鬼滅」効果、にぎわう「鬼の館」 きれいな女の人も…

聞き手・三浦英之
【動画】昨年、大ヒットを記録した映画「鬼滅の刃」。岩手県北上市の「鬼の館」には連日、鬼の不思議を知ろうと、首都圏や隣県の秋田県などから親子連れが詰めかける。鬼の何が人を引きつけるのか。同館の相原彩子学芸員に聞いた=三浦英之撮影
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 大ヒットした映画鬼滅の刃」。岩手県北上市の「鬼の館」には連日、鬼の不思議を知ろうと多くの親子連れが詰めかける。鬼の何が人を引きつけるのか。同館の相原彩子学芸員(34)に聞いた。

 ――北上市は「鬼の町」と呼ばれています

 「北上市には『鬼剣舞』という民俗芸能が伝わっています。鬼のような仮面をかぶって舞うとても勇ましい踊りですが、実は仏の化身と言われています。『鬼の館』は1994年、鬼剣舞発祥の団体である『岩崎鬼剣舞』が伝わる地区に、鬼で町おこしをしようと建てられました」

 ――東北には鬼にまつわる地名が多く残っています

 「岩手県で言うと、一関市に『鬼死骸村』と呼ばれる地区がありました。当時、中央政権に従わなかった『蝦夷(えみし)』と呼ばれる人々が『鬼』とみなされていたほか、蝦夷の族長を埋めた『鬼石』のある場所でもあり、そのような地名が残ったと伝えられています。大船渡市三陸町の越喜来地区は『鬼喜来』とも称され、海に流した蝦夷(鬼)の死骸が流れ着いた所とも伝えられています」

 ――映画「鬼滅の刃」がはやりました。代表的な「鬼」とは?

 「鬼の館には『怖い鬼』もいますが、人間を守ってくれる『優しい鬼』もいます。でも、代表的な鬼はやはり、地獄にすんでいる鬼でしょう。人は亡くなると3年の間に10人の王から裁きを受け、生前悪いことをした人は、怖い鬼がいる地獄に行かなければなりません。鬼の館には生前悪いことをした女性の亡者の髪の毛をつかみ、ノドに刃物を突きつけている『鬼卒』の像が展示されています」

 「一方、『鬼滅の刃』の鬼は、最初は人間だったのですが、後に鬼に変身してしまったものです。鬼の館には、きれいな女の人が一瞬で鬼に変身してしまう仕掛けもあります。人形劇『文楽』で使われているもので、女の人が恨みつらみが募ってしまって鬼に変身してしまった、という場面で使われています」

 ――つまり「鬼」とは何なのでしょう?

 「色々な説がありますが、私が個人的に感じているのは『人の心にすんでいるもの』。自分の心次第でどんな相手でも『鬼』になったり、『優しい人』になったりする。心の捉え方次第で『鬼』はどんどん変わっていくものだと思っています」(聞き手・三浦英之

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