幻の米本土爆撃、証人は1基のエンジン 歴史に差す光と影
武田啓亮
【東京】羽田空港の拡張工事現場から、さびた巨大な飛行機のエンジンが掘り出されたのは37年前のことだ。
旧式のレシプロエンジンで、円筒2つを重ねた外周に計22個のシリンダーがついている。ガソリンで焼かれた跡もあった。現場は太平洋戦争終戦当時、池があった場所。開発中の軍用機用のエンジンだったため、占領軍による没収を恐れて沈めたのでは、との見方もあった。
掘り起こされたのは、空冷式星型エンジン「ハ50」。未完に終わった戦略爆撃機「富嶽」に搭載予定だったものだ。
「完成に10年はかかる」
富嶽の構想は、途方もなかっ…